当方が「鉄鏃」の件を発見したのが2020年4月4日です。
邪馬台国論議の「根本的な見直し」につながる可能性がある件のため、慎重かつ詳細な検討を継続して、約2年経って今年ブログ化したのが本ブログの第一稿です。
(B001)後漢書は魏志の要約ではない証明1「鉄鏃(てつぞく)の有無」
桂川氏に関しては、2019年に「中興の祖 崇神: 大和朝廷史 第3巻」を購入していましたが、2020年に「この人が卑弥呼」を新たに購入していました(Amazonの履歴で上記のように2020年4月13日)。
ただ、その時は購入はしたものの内容の詳細までは読み込めていなくて、もっと後になってから、「この人が卑弥呼」の途中に当方と同様の見方=”『後漢書倭伝』は『魏志倭人伝』を参照していない”が書かれていることに気が付きました。
「単語レベルでは(両書の)二つの文章は、 ほぼ同じである。 しかし、文節レベルで一つとして同じ文章は無い。」などの考察が見事で、慧眼に感服しました。
当方も、「後漢書」と「魏志」で文章が少しづつ違うことに違和感を持っていましたが、桂川氏はそれを的確にまとめて頂いています。
(皆さんも是非お読みください。桂川氏の著作は有益なため、その後も購入を増やして計7冊購入)
なお、桂川氏の方が早く(「この人が卑弥呼」発刊2018年4月)、内容も素晴らしいですが、「鉄鏃」には言及しておられず、当方は独立して別アプローチから同じ結論(「後漢書」は「魏志非依拠」)に到達したようです。
なお、基本認識での相違点もあります(後述(2))
[著作内容の抜粋紹介]
(1)桂川氏「『後漢書倭伝』は『魏志倭人伝』からの派生ではない」(=『魏志倭人伝』を参照していない)
(当方:明快に喝破しておられると感じます)
(2)桂川氏「後漢書の作者が見た資料には、邪馬台国に至る行程記述は無かった(後で付け加えられたものを陳寿は見ている可能性が高い)」
(当方:同見解ですが、「魏の使者の情報」という見方は採りません⇒范曄の参照史料は後漢代に既に成立と想定しているので魏の使者が行く前)
(3)桂川氏「同じ文章はまったく無い」
(当方:基本的に同様認識⇒「記述が似ていても実際は同じ文章では無い」という点は非常に重要で、先達らがこれを読み取れなかったのが不思議なぐらい)
(4)桂川氏「范曄が『魏志倭人伝』を改ざんしたとする、合理的な根拠は何もない」
(当方:この考え方を強く推します)
以上